黄金のドナドナ------エピローグ------


乾いた砂埃をたてて、荷馬車が走って行く。
何故か俺はそれを必死に追いかけていた。
黒い衣を被った不気味な御者に駆られ、馬車は坂道を下る。
息が切れ、倒れ伏しそうになりながら
俺はようやく追いついた。
しかしその荷台は・・空だった。
御者は無言で乗れと促す。
俺は・・俺は・・・






・・・
アルデバラン、アルデバラン!
どこかからムウの叫ぶ声が聞こえ、俺は目をさました。


「良かった。気が付いたのですね。」
強烈な既視感に俺はくらりとした。
ここは・・・?
俺は冥界で、地獄の最果てで仲間とともに散ったのではなかったか。


「やあ、アルデバラン残念だったな。」
…サガがいる。あたりを見回すとシャカも、カミュも、皆いる。
俺は了解した
ああ、ここは…
「皆天国に逝きそびれたのです。なにしろ曲者揃いですから。」
「…ムウ」
「でもあなただけ、あとすこしでそのまま天国にいってしまうところでした。」

俺は女神に感謝した。

…俺の「天国」はここに…






おしまい。

*        *       *


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【後書き】
・・・押しの弱い、アルデバランですみません。
彼はけして己の欲しいままに奪う男ではなく、
むしろその身を犠牲にしても、自分の
愛するものを守る男だと思ったので。

原作のニオベ戦@金牛宮でも、卑劣な敵から
自分は逃げることができたかもしれないのに、
あえて刺し違えることで、後から来るムウ様の
命を救ったのではないだろうかなんていう、
妄想をしてしまいます(何かが末期)。

そしてムウ様が壊れ気味ですみません。
アルデバランといるときの笑顔&丁寧口調に
萌えの焦点を合わせてみたのですが・・・。

当初、平和で幸せな二人の話にするはずが、
まったくもって上手くいきませんでした。
二人のラブラブ(死語?)なお話を期待して
くださっていた方にはもう、平謝りです。

初心者ということで、原作に沿ったのですが、
うまく吸収できたのは「小宇宙は便利」という
ところだけだったように思います;;

星座の逸話に由来する形ではありますが、
牡羊座の頭部が後ろを振り返り、ちょうど
牡牛座を向いている形になっていることも
今となっては萌えるべきところなのでしょう。


【なぜにドナドナ】

無論アルデバランは仔牛ではありません。
牛も羊も古代から神々に犠牲、生贄として
捧げられていた動物で、私の中では、
ほのぼの草食動物というより、血塗られた、
屠られるべき獣のイメージが強かったのです。

十二宮でも、最も戦いが激しいだろう前戦に
配置される彼らの宿星を思うとき、犠牲という
言葉の意味を思わずにはいられないのです。

(本家歌謡「ドナドナ」も諸説あるようですが
ナチ時代のゲットーに連行されるユダヤ人を
暗示するとも言われ、牧歌的とはほど遠い、
犠牲の寓意に満ちた歌のようです。

参考(http://)www.worldfolksong.com/closeup/donadona/dona2.htm

まあ、私が実際聴いていたのは聖飢魔IIの
『戦慄のドナドナ』なんですけどね。
・・・しかしこれも深い歌ですなのですよ。
私はこれに天啓のようなものを得ました。)


こんなところまで読んでくださって、
ありがとうございました(平伏)  


そして最後になりましたが、このようなお話を こころよくもらってくださった、桶乱さん、
ありがとうございました!!

  2006年 4月28日     油すま吉拝