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ご注意。*サガの日記風。サガムウ前提の性暴力描写あるのでR18。 ムウ様がひたすら耐えてるようなノリでも大丈夫な方だけどうぞ。 L`ombra della luce * * * 2月26日晴れ。 わたしはデルフォイ郊外の別荘に来ていた。 穏やかに晴れわたる空の下で名残の雪が遠くの山々に散り、 麓ではアーモンドの白い花が揺れている。 美しい日だ。 昼過ぎに現れたムウの、いつも柔らかい唇が 今日は少しだけかさついていた。 「寝不足か」 「…仕事を片付けないとここにはこられないですから」 ムウはうつむいたまま応えた。 ずっと工房に篭っていたのだろうか。 丸い頬が少しだけやつれたようにも見える。 愛おしさが募り、また深く口付けると 服の上からでもムウの体が熱くなるのがわかる。 わたしは懸命に自制しながら、後方の扉に「入れ」と命じた。 部屋に次々と若い雑兵たちが現れる。 「…?」 わたしの腕のなかでムウが意識をめぐらせた。 いつも雇っている者達ではないからだろう。 その12人は身長2メートルを超す猛者たちだ。 不審に思うのも無理はない。 「すべて身元はしっかりしている。このわたしが自ら面接して選んだのだ」 「いったい…」 「許せ」 わたしはムウの腕を封じたまま魔皇拳を撃った。 ムウの眉間を赤い閃光がつらぬいたと思うと 拳圧でムウの身体は床に叩きつけられた。 「く…」 ムウはすぐさま体勢を整えようとするが、 バランスを崩してよろめき、やすやすと組み敷かれた。 わたしは腰を落とすとムウの肩口を膝で押さえた。 「う…うう」 五感はそのまま意識ははっきりしているはずだ。 どんな幻を見ているのだろう。 しばし苦しげに呻いていたムウがようやくわたしを見た。 「この男たちになぶられてくれないか」 わたしは努めてやさしく声をかけた。 ムウの可愛らしい顔にありありと驚愕の色がうかぶ。 …たまらない。 こんなことが許されるはずがない、という気持と 堪え難い嗜虐への誘惑でおのずとわたしの息は上がる。 その一方でわたしの手は後悔に震え、 いまにも自ら胸を衝いてしまいそうだ。 ああ、ムウ。いくら愛のためとはいえ、 「なんでもする」、などと軽軽しく言ってはいけないよ…。 …いつか、黒いわたしがしたことは全てやってみたいと話したとき、 おまえは冗談と思ったようだが、あいにくわたしは真剣で それはわたしにとってはとてつもなく重大なことだったのだ。 おまえを苦しめたはずのあの男。 おまえはあの男にどんな姿を見せたのだ。 わたしは是が非でもそれを知らねばならない。 身をよじり無駄な抵抗を続けるムウにわたしは専用の枷をした。 わたしが以前にムウに作らせた黄金の枷だ。 容易に外れることはない。 ムウは、まるで生贄のように手足をくくられ脚を開かれた。 それはとても不道徳な、しかし抗い難く淫らな格好だった。 わたし以外の人間にその姿をさらすのはさぞ屈辱だろう。 ムウの圧倒的な小宇宙に及び腰だった雑兵らも、 この様子を見てじりじりとその間合いを詰めだした。 わたしは「かかれ」と合図をする。 しかしあっと言う間に三人がムウに飛ばされた。 まっすぐに向かってゆくからだ馬鹿者。 やはりこの状態であっても力の差は歴然としてた。 「逆らうな」 わたしはポケットからナイフを出して、わたし自身の首筋に当てた。 ムウが驚いたようにこちらを見る。 「大人しくするんだ」 抵抗が止んだが、それでもムウは力なく首を振り続けた。 「どうした。慣れたものだろう?うん?」 ムウの目に涙が溢れる。 二人の雑兵が異常な事態に萎縮して次々と脱落した。 「わたしにはできません」 三人目の黒髪の兵はわたしを見てはっきりと拒絶をした。 「身分の差は考えるな」 「ではわたくしも人として申し上げます。こんなことは間違っています」 「なんだと」 「愛を試すなど許されないことです」 わたしは嘆息した。 「無礼な!」 年上らしい男がその男を打った。 「サガ様、失礼いたしました」 「殺すな。その男の言い分は正しい」 その男の首に手がかけられたので、わたしは呆れつつ止めた。 雑兵とはいえ、無駄な屍を増やすつもりはない。 …愛を試すな、だと?そんなことは分かっている。 分かりきっている。 だが愛しているなら「すべて」を知りたいと思うのもまた、当然だろう。 すっかり冷めてしまったその場に、わたしは素焼きの大壷を運ばせた。 壷には狂女たちと葡萄、そしてメデューサの首が描かれていた。 中身は強力な精力剤である。媚薬にもなるはずだ。 できれば強い薬は使いたくはなかったが、 この手間取りようではムウの体を必要以上に傷つけるかもしれなかった。 ムウに血を流させてよいのはわたしだけだ。 苦痛を与えたいといっても四肢を切り刻みたいわけではなく、 下劣な辱めを与えたいわけでもない。 ましてやその美しさを損ねることなどけしてあってはならない。 ムウは屠られる獣のように、諾々と香油を塗られている。 その口にも無理矢理薬液が流し込まれたのを確認して、 わたしは向かいのソファに腰をおろした。 権力欲にまみれたあの男は、残酷な為政者の常として 食事をとりながら処刑を眺めただろう。 わたしも取りおいていたを赤を開けたが、なかなか杯は進まなかった。 薬に煽られた男たちはすでに意識の朦朧としたムウに次々と挑んでいった。 取るに足らない雑兵でも、若い体はそれなりに美しい。 浅黒い肌の合間をまるで波に飲まれるようにムウの白い肌が激しく浮沈する。 客観的に見れば、扇情的な光景なのかもしれないが、わたしには耐え難いものだった。 鳩尾がよじれるように痛みだした。 ほどなくしてムウを押さえつけたひとりが、無理矢理に押し入った。 男は二度試すように引き、一気に貫いた。 ムウの背が大きく反る。 わたしはその刹那、頭を殴られたような衝撃を感じた。 強すぎる嫌悪感に胃の腑がちぎれるのをはっきりと自覚する。 …これは思っていたより苦行だ。 叫び声を上げそうになったわたしはさきほどのナイフを右の太ももに刺し、 何とかその場をしのいだ。 男の動きは激しく、ついにムウが声を漏らす。 耐えがたくなったわたしは洗面所にかけこんだ。 空の胃袋から出た苦い胃液と濁ったワインが 鮮血とともに白いタイルに吸い込まれていった。 鏡には酷くやつれた惨めな男の姿が映っている。 顔色は土気色で死人のようだ。 すぐに戻らねばと思ったが足が動かない。 ムウのすすり泣く声が切れ切れに聞こえる。 今は必死に声を殺しているが、その呻きに快楽の色が混じるとき、 わたしははたして正気でいられるだろうか。 急に姿の見えなくなったわたしにムウの小宇宙が呼びかける。 「サガ……」 だが。 それは「わたし」なのか…? 「サガ……!」 無駄だというのにムウはわたしを呼び。 やめさせてくれとくりかえし訴えている。 非道だ。 やはり非道な行いだ。 しかしこんなことをしたあの男をおまえが愛したという事実を わたしはどうすればよいのだ。 おまえのいう、「どんなわたしでも」という言葉を認めるわけにはいかないのだ。 …そうだ。 「どんなあなたでも」とムウは言った。 あのとき、おまえは誇りも何もかも棄ててわたしのために 底なしの淵で嫉妬の業火に焼かれるわたしの低さにまで、 その手を差し伸べてくれたというのに わたしはおまえの心を刃で刺し貫くのか… そのときわたしを呼ぶ小宇宙が軽く揺らいだかと思うと ムウの嗚咽する声がまた聞こえだした。 叫びにはところどころに高くひきつれ、かすかに艶めいた。 「あ…あ…ああ…サガ……許して…ください」 どうやら許しを乞う意味合いが変わってきているようだ。 …ほんとうに、人の体というのは脆いものだ。 わたしはどす黒い滓のようなものが、静かに胸中に広がるのを感じた。 気づいてはいたのだ。 …ムウは、否、ムウの身体は折檻のような容赦ない行為を好む。 酷く乱暴にされればされるほど、強く痙攣するさまが目に浮ぶようだ。 以前はこんな風ではなかった。 あの最初のとき、確かにムウは苦しそうだった。 痛くはないか、とわたしが訊くと、必死にかぶりを振って、 細い指でわたしの首にしがみつき… わたしの背をぎゅうと抱いて震えていた。 そして泣くような、甘えたような声でわたしの名を呼ぶ。 おまえが「好き」と呟くあの、幸せの絶頂… それがどうしたことだ。 いつのまにかわたしはムウを壁や床に押し付け、欲望のままに まるで飢えた獣のように犯すようになっていた。 無理強いしたときの、あの陶然とした眼差しはわたし慄かせた。 見間違いではないかと、確かめるように酷い行為を繰り返すうちに、 ムウの性向は否応なく顕になっていった。 髪をつかまれ、脚を開かされ、自由を奪われた体に辱めを受けるほどに、 その身体は「好い」とでも言うかのように熱を帯びた。 なんという残酷な性癖だろう。 いったい、何がおまえを変えてしまったのだ。 わたしの知らないうちに……いや、わたしは自ら知ろうとしなかったのろう。 …ならばこそこの目でいま見なくてはならない。 わたしはよろめく体を起こした。 部屋の隅にはムウに蹴られたか、力尽きたかした男達が横たわっていたが、 まだ数人の雑兵たちが欲望のままにムウを囲んでいた。 惨い仕打ちであればあるほどにそれを悦ぶ人間は存在する。 男達のなかにあの黒髪の兵をみとめわたしは微笑んだ。 いまや飽きれるほど無心にムウを貪っている。 そうでなくてはならない。 ムウがこちらを見た。 その濡れた瞳にわたしはもはや理性など何の意味もなさないことを知った。 認めよう。 その澄んだ瞳を絶望の色に染め、切り刻みたい。 わたしはおまえの柔らかい心にこの刃を沈めたい。 襞の奥に、誰よりも深く。 いっそおまえがいまいちどわたしを憎むほどに… ムウは背後から貫かれ、自身をなぶられながら両膝で身体を支えていた。 顔を上げてこちらを見ようとしたが、強引に押し止められる。 そこに攻防を見たわたしはムウに命じた。 「逆らうな」 わたしの声にムウの体がビクリと震える。 …そうだ。いい子だ。 「その男をわたしだと思え」 抵抗を止めたムウの口腔を男が犯し始める。 ムウの泣きはらした目から新たに涙が零れ落ちる。 「どうした。嫌なのか?」 あいにく周りはわたしを含めその様子を喜ぶ人でなしばかりだ。 男達の動きがひときわ激しくなり、 それぞれの欲望がムウの顔や身体を汚しはじめた。 「サガ…っあああっ」 背後の男が入れ替わりまた激しくムウを揺さぶっている。 ようやく解放された唇は喘ぎを殺すのに必死のようだ。 ムウの腰はこわばり、しだいに震えはじめた。 「く…う…う」 「好いのだな」 「うあっ…ああ…っ見…ないでくださ…い」 「わたしがここにいるというのに」 ムウの頬が染まり、さらに激しくかぶりを振るが 「どれほど恥知らずなのだ」 「違…あ…ああ」 ムウの唇までが震え始める。 限界が近いことは容易に見て取れた。 「淫売」 神を呪うよりも恐ろしい侮蔑の言葉だ。 「…っああっ」 しかしその刹那ムウは果てた。 とうとう達したのだ。 このわたしの目の前で。 ムウが崩れ落ちる。 その震える白い背を見ていると わたしはなにか愉快になってきた。 「そんなに悦ぶとは」 わたしはムウの背の鎖を引いた。 「あうっ」 枷は一度に手繰り寄せられて、限界まで背が反らされる。 「…悪い子だな」 ムウの頬がまた染まってゆく。 「く…あ…う…っああああ」 黒髪の男が待ちかねたようにムウの腰を掲げる。 達したばかりの中心を弄ばれ、背後から深く衝かれて高い声を上げた。 抗うこともままならず、背をさらに歪ませながら ムウはたちまちに昇り詰めてゆく。 慣らされたムウの体は、一度達してしまうと とどまることができずに何度も深く高く、堕ちるのだった。 息もできないほどに休みなく昇らされる責めは明らかに苦痛だ。 だがムウにはそれが好いのだろう。 わたしはムウの手足の枷を外した。 自由になったはずの身体でムウは男たちに促されるままに、奉仕し、腰を動かす。 「ああ…っはっ…あ」 正気と狂気の、快楽と苦痛の淵を彷徨い繰り返し逸して溢れる。 限界まで身をよじるムウはまるで燔祭の贄のようだ。 炎に焼かれながら悦びにのたうつ。 否、快楽をすすりつくすために自らを食らうなど、禽獣にももとるだろう。 なんという救いがたい浅ましさだろう。 ムウはわたしを見つめたまま深く、濃密に貪りはじめた。 ムウの瞳は侮蔑の言葉を受けてますます強く輝く。 わたしは目をそらすことができない。 …美しい。美しいのだ。 まるで打たれるほどに輝きと強さを増す鋼のようだ。 どんな汚辱にまみれようとおまえの優美さは消えない。 どれほど多くの血が流れようともわたしの罪が消えないように…。 わたしはいつしか泣いていた。 楽しいはずであるのに涙が止まらない。 そう、とても可笑しなことではないか。 跪拝したいと思うほど神聖であるはずのものを 踏みにじり唾棄するなど。 愛しているのに。 愛している。 ムウ……。 next→ サガを追い詰める サガを甘やかす |