|
scene1 目覚めると白い壁がわたしの四方を囲んでいた。 …どこだ…冥土ではないな… からだの傷はすべて癒えている。 わたしは無意識にサガを――わたしのかたわれを探した。 …返事はない。 「気が付いたようですね」 ムウが部屋に入ってきた。 「…サガはどうした」 「あなたがサガですよ」 髪は確かに蒼銀の、あの男のものだった。 ・・・しかしここでこうして考えているのは、「わたし」だった。 ムウはすべてわかっているようだった。 その平然とした態度が妙に気に障る。 …力づくで説明させてやろうか・…? そう思った瞬間、わたしのなかで声がした。 『…やめろ・・ッ…ムウに触れるな…』 サガであった。しかしその声は力なく消えてゆく。 …わたしとサガと、精神の主が入れ替わったのか…? サガの意思はずいぶんと遠い…微かにわたしの思惟に残っているだけ…やはりサガはあの時に死んだのか… …そうか。 私は了解した。 …この男の仕業か。 「なぜわたしを助けた?」 「そうするように命じられたのです」 「…なぜ、サガでなくわたしなのだ」 「あなたは戦士。より強い人間を選んだまでのこと」 すべては聖域のため、そう言って背を向けたムウを、私は羽交い絞めにした。 「――なにをする!!」 「フ…油断したなムウ」 両手首を封じながらわたしはムウに囁いた。 「なぜ・・・サガが生を拒んだのか・・・知りたくはないか」 ピクリ、とムウの肩口が震えた。 …やはりこの男は知らぬのだ。 わたしはゆっくりとムウの正面に回った。 |