scene1

         
 * * *

目覚めると白い壁がわたしの四方を囲んでいた。

…どこだ…冥土ではないな…
からだの傷はすべて癒えている。
わたしは無意識にサガを――わたしのかたわれを探した。
…返事はない。

「気が付いたようですね」
ムウが部屋に入ってきた。
「…サガはどうした」
「あなたがサガですよ」
髪は確かに蒼銀の、あの男のものだった。
・・・しかしここでこうして考えているのは、「わたし」だった。
ムウはすべてわかっているようだった。
その平然とした態度が妙に気に障る。

…力づくで説明させてやろうか・…?
そう思った瞬間、わたしのなかで声がした。
『…やめろ・・ッ…ムウに触れるな…』
サガであった。しかしその声は力なく消えてゆく。
…わたしとサガと、精神の主が入れ替わったのか…?
サガの意思はずいぶんと遠い…微かにわたしの思惟に残っているだけ…やはりサガはあの時に死んだのか…

…そうか。
私は了解した。
…この男の仕業か。

「なぜわたしを助けた?」
「そうするように命じられたのです」
「…なぜ、サガでなくわたしなのだ」
「あなたは戦士。より強い人間を選んだまでのこと」
すべては聖域のため、そう言って背を向けたムウを、私は羽交い絞めにした。

「――なにをする!!」
「フ…油断したなムウ」
両手首を封じながらわたしはムウに囁いた。
「なぜ・・・サガが生を拒んだのか・・・知りたくはないか」
ピクリ、とムウの肩口が震えた。
…やはりこの男は知らぬのだ。

わたしはゆっくりとムウの正面に回った。


 

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