そのとき。
攻撃が止まった。
すでに分岐したスターダスト・レボリューションを止めるには全く同質の攻撃的宇宙、すなわち、スターダスト・レボリューションが必要である。
「ムウ!何を・・」
さすがのシオンも仰天した。愛弟子ムウがサガの前で自分の拳を受け止めているではないか。
しかしすでにギャラクシアン・エクスプロージョンをも飲み込んだスターダスト・レボリューションを真っ向から受け切ることは不可能。その威力をまともにうけ、吹き飛ばされるはずである。
「よけろ、ムウ!」
「嫌です!」
その言葉とほぼ同時に、ムウの体は大きく宙を舞った。
『ムウ!!』
「ムウ!!」
駆け寄るシオンとサガ。シオンが手加減なしで放った拳である。いかにムウでも死んでしまったかもしれない。
「シ、シオン…」
意識はあるようだ。しかし、さすがにダメージは大きいとみえ、起き上がれない。
「喋るなムウ!」
「言ったはずです。サガをお許しにならないとあらば私は…私は…」
ここまで口にするとムウは意識を失った。シオンの顔色が変わる。しかしまだ息はあるはず…そう思うシオンの眼の前で信じがたいことが起こった。
『ムウ・…う…ううう。うわああああああー!!』
サガが。あの黒のサガが。気が狂ったかのような絶叫とともに自らの胸を突いたのである。
またか、と思う間もなくほかの黄金聖闘士たちが駆けつける。
シオンはムウの介抱をシャカたちに託すとサガの蘇生にとりかかった。
まだ息があるムウよりも一撃必殺、心の臓を打ち抜いたサガのほうをまずなんとかせねばならない。
カノンを呼び、小宇宙の波長を合わせながら、心房の血管一つ一つを修復する。
「愚か者が…まったく何ということを…!」
「サガ・…」
カノンは茫然と血に染まった兄の姿を見ていた。黒いサガのことはあまり知らなかったが、今や兄と全く同じ思考パターンであるということは良くわかった。《しかし、なぜムウなんだ…》カノンはそう思いつつも、懸命にサガを治す教皇を意外な気持ちで見ていた。止血をしながら肉片をつなぎ合わせていく姿は熟練した外科医のようであった。


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