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Scene 2 サガ(中身:黒) 遡ること二日前の夜。サガは自室で一人、蒸留酒を傾けていた。 …わからん。 なぜあんなことを言ってしまったのか。。 昨日の夜。 「この関係を続けたら…やはり私はシオンに殺されますかね」 いつものようなムウの軽口。 しかしその日はどこか様子が違った。 「おまえが死んだら生きていてもつまらんな」 わたしは思わず陳腐極まりない台詞を吐いてしまった。 「あなたはいっそ死んでしまったほうが世のためですよ」 「フン・・・違いない」 その場は笑い飛ばしたものの、わたしは自分の言葉に驚いていた。 そして…ムウはなぜ今更またそんなことを言うのだろうか。 よもやムウは私が邪魔になったのではあるまいか。 ならば生爪をはがすようにじわじわと攻め立てられるより、一刀両断されたほうがまだましというもの。 ムウにとって私はあいつ・・あのサガを蘇らせるための道具にすぎなかったのではないだろうか。 例の一件が苦々しく思い出される。ムウはわたしの命を助けたが、それは結局はあの男のためではなかったか。 サガは改めて自分のかたわれを呪わしく思った。 …あいつはいつだってムウに優しい。ムウはあの男のまえで笑顔を絶やしたことはない。 それにくらべてこのわたしは。。。 気分の赴くままに、ムウを傷つけ、不愉快なことがあるとすぐにあたりちらす。 …そのくせムウの困ったような顔を見るとどうしていいのか分からなくなるのだ。 …欲しいものはすべて力で奪って来た。しかしこの世にはどうしたって奪えないものがあるのだ。 いっそ奴を殺して全て終わりにしたいとも思う。 どうせあいつはあのサガがいいのだ。わたしを欺くほどに。 実に不愉快だ。くそっ…わたしはこんなわけのわからない人間ではなかったはずなのに。。。 出口のない重苦しさにサガは低くうめいた。 酒で気が紛れるわけではなかったが、また酒なしでも正気でいられるとは思えなかった。 体を共有している今となってはめったに黒くは染まらなくなった自分の髪。 ・・・やはりこの体はあのサガのものなのか。 そんな考えまで浮かんでくる。 果てのない苛立ちは消えそうもない。 せめてムウを…あの男の白い体を抱いていたら眠りにつけただろうに。 …ムウ………。
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