| 黄金のドナドナ |
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謹呈 ムウ様を、そしてアルムウをこよなく愛する 元M-groove(=元黒羊メロイック)の桶乱さんに感謝の気持をこめて捧げます。 * * * ご注意 *あまりハッピイな話ではありません。 *原作設定です。 *申し訳程度に性描写があります。 18歳未満の方はご遠慮ください。念のため。 * * * 黄金のドナドナ 十二宮の戦いが終わった。 先ほどまで多くの血が流されていたとは思えぬほどに、夜の聖域は静かで、 夜空の星はいつもと変わらぬ輝きを見せている。 早春の冷たい夜風が心地よく、俺は金牛宮の外でしばしたたずんでいた。 月の光に照らされて青く染まる闇の中に、大理石の柱の群れが仄白く浮かんでいる。 たった一日で聖域の何もかもが覆されてしまった・・・いや本来あるべき姿に戻ったのか。 十二宮を覆う黄金の小宇宙の大半を失ったが、真の女神を得た、という高揚感が俺の胸を占めていた。 そして今日は・・・ひさしぶり、実に13年ぶりに隣の宮に友人が帰ってきていた。 長く両隣が無人の宮であったことを考えれば俺にとっては大きな出来事だ。 ・・・いや、心が浮き立つ理由はそれだけではない。 ムウが、アリエスのムウが、帰ってきたのである。 幼馴染というほどではないけれど、昔は食事や訓練、改まった場ではいつも、 必ず隣同士であった。そして幼い俺には、それがなぜか無性に嬉しかった。 俺は昼間ムウと会った場所にもう一度立って、記憶を手繰り寄せる。 13年ぶりに会ったというのについ先ほど別れたかのように現れたムウ。 変わっていたことといえば・・・ 「こんばんは」 考えに集中していた俺は、あろうことか自宮の結界をくぐって、当のムウが来ていることに気付かなかった。 「おお、ムウ!」 「お邪魔でしたか」 「いや・・・今日のことを考えていてな。」 「ええ。今日は星矢たちに驚かされましたね。まさかあそこまでやってくれるとは思いませんでした。」 ムウは淡々と言葉を継ぎ、腕を組む。 その言葉とは裏腹にまったく驚いた様子も見せないムウに、俺は思わず声が大きくなる。 「無謀だとは思わなかったのか。正直驚いたぞ。お前がやることにしては・・・」 そう言って俺はこの同僚が昔からその柔和な顔に似合わず、意外にやらかしてくれる一面を持っていることを思い出した。 ムウはそれには直接応えず、全て女神の思し召しです、と言うと俺の隣に来て石柱によりかかった。 ムウはストールのようなものを羽織ったいでたちだった。聖衣を脱ぐとムウは毛のない羊のようにひと回り以上も小さく見える。 「やっと・・・戦いが終わったな。」 「ええ。でも本当の戦いはこれからです。」 ムウは毅然と顔をあげた。 俺はその白い横顔をぼんやりと眺めた。 本当の戦い、か。ようやく女神の聖闘士として戦える時期が来たというのに、なぜかその言葉に素直に喜ぶことができなかった。 戦いが終わったばかりだからだろうか。そう思いたい。 女神が降臨なされた今、平和な世はもうすぐそこまできているのだ・・・ 気が付くと、ムウが自分をじっと見ている。 まっすぐに自分の顔に視線を注がれ、俺はうろたえた。 「アルデバラン・・・。ほんとうに角の修復は良いのですか?」 俺ではなく聖衣を見ていたのか。俺はすぐさまマスクを外した。 「気になるか?」 「ええ・・・外観だけでなく、微妙な左右のバランスの違いから、僅かなゆがみが出るかもしれません。聖衣はすべて計算して作られているのですから・・・」 修復家であるこの友人が聖衣に厳しいまなざしを向けるのは当然といえば当然であるが、容赦ない批判を浴びせられる自分のマスクが少々憐れな気がした。 「根本から折れていないことが幸いです」 そういってタウラスのマスクを点検するムウの姿をアルデバランはあらためて眺め入っていた。 ムウの薄紫の髪は、今や腰より下に伸びて、少女のようだった声は、低く、しかし柔らかい声音に変わっていた。肌はあくまで白く、黒目がちな大きな瞳は大人びたとはいえ人形のようで、年齢よりその顔を幼く見せている。 ・・・こんなことを言ったらムウは怒るかもしれんな。 「綺麗になった」という言葉を飲み込んで俺は隣人を見つめた。 * * * Next
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