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白羊宮を通過し、俺達は部屋に到着した。 俺は迷いもなく服を脱いでゆくムウを呆然と見つめてた。 窓からこぼれた月明かりに照らされたその白い体は、今まで見たどの彫像よりも美しい。 どうしていいか分からない理性とは対照的に俺自身はさっきから痛いほどその存在を主張している。 「・・・来て・・・」 ベッドに横たわり、ムウは俺を優しく誘う。 心臓が口から出そうだ。 ・・・本当にこんなことをしていいのだろうか・・・ そんな思いが頭を掠めたが俺はムウの差し出す白い両手に引き寄せられるようにしてその身に体を重ねた。 「重くないか」 「平気です・・・本当は潰されてしまいたいくらい・・・」 そう言うとムウは俺に再度唇を重ねた。 先ほどより甘く、濃厚な口付け。からみつくムウの舌に、唇に俺はうっかり果ててしまいそうになり、必死でこらえた。 「その・・・いろいろ・・・なんだ、必要なのだろう、が。俺は・・・」 それには答えずムウは微笑むと俺の頬に優しく口付けをした。そして俺の首に手をかけると胸や腹をいとおしげに撫でた。 俺も同じように、ムウの首や胸、腹に手を這わせた。するとムウの体はところどころでビクリと跳ね、切なそうにうめいた。俺は夢中になってムウの、胸や首筋、胸の突起をまさぐった。 「ああっ・・・んん」 ムウの声が、細く高く響く。 俺はムウの反応を手がかりに、引き締まった、きめの細かい肌に指を這わせ、口付けを繰り返した。柔らかい筋肉が敏感に反応し、熱を帯びてゆく。しだいに切れ切れになってゆくムウの吐息は俺の心を怪しくかき乱す。 「ムウ・・だめだ俺はもう待てない」 しかしいざ体をつなごうとして俺はとまどった。 ・・・無理ではないか。俺の体躯に比例したそれに通常の人間が対応できるわけがない。そんな俺の戸惑いを知ったかのようにムウは潤んだ目で懇願する。 「お願い・・・」 切なそうなそのまなざしは止めを刺してくれと乞うかのようでもあった。 とうとう俺は俺の刃をつきたてた。 ムウの白い喉がのけぞり、足先まで緊張が走る。 反射的に逃げる腰を抑え、俺はその身をしずめていった。 しかし俺のかたわれは容易に収まらず、 半ばほどでムウは苦しそうに眉根を寄せる。 しっとりと汗で額を湿らせ、声も出せぬほどの激痛に耐えているムウを見かねて、 俺はやめようかと思った。 しかしその時ムウが口を開いた。 「お願い・・・です・・・」 苦痛に耐えてようやく紬ぎだされる言葉。 「なんだ、何でも聞いてやる」 「やさしくしないでください。」 理性のネジが飛んだ。体が言う事をきいてくれない。 俺はこんなふうに残酷になれる人間ではなかったはずなのに 俺の体はムウの深奥を求めて飽きることを知らず動きまわった。 「ああああ・・・ああ!」 最初は苦しげなうめきであったムウの声が、艶を含んだように響いてきた。 ムウの高まりを感じた俺は勢いを強める。 大きく背をそらせて、ムウが果てた。 俺もほどなく果てたが、ムウは俺の首をかき抱いて離してはくれない。 そしてそのようなことをされるとまた俺の体がムウの中を犯してしまう。しかも今度はより深く、余さず収まることができた。 三度目の交合のあと、ムウは俺の腹に乗るような形をとった。 あお向けになった俺は、何かキラキラした幕のようなものが四方に張り巡らされていることに気がついた。幕は月明かりを反射して青白くセロファンのように波打ち、輝いている。 ムウは静かにその身を沈めた。 黄金色の小宇宙がくすぶり、その幕に乱反射し、薄明かりとなってムウの長い髪を照らす。 ムウが動くたびにその菫色の髪は反射された光で淡く銀や朱に輝いていた。 あまりに淫らで、しかし夢のように美しい光景だった。 守り、傷つけないことが愛だと信じていた俺が、 今や愛するものに凶暴な刃を突き立てている。 快楽に溺れながらもムウの痛みを思うと、胸が張り裂けそうだった。 でもムウがそれを望むなら。 俺はムウが望むなら、たとえ自分の心が潰えてもそれを叶えるだろう。 苦痛のせいか、それとも快楽のためなのか。 動きながらムウは涙をこぼす。 あたかもその痛みで自身を贖おうと、その身に刻まれたまがまがしい痕跡を自ら消し去りたいと願っているかのようであった。 Next
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