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その次の晩も、その次も・・・俺達は逢瀬を重ねた。
あんなに丸かった月も身を細めてゆき、もう無くなりかけている。

何度体を重ねても、俺の進入にいつもムウの体はきしんだ。
ある晩ムウに、俺は聞いてみた。
「痛く・・・ないのか。」
「痛いですよ。」
ムウは平然と言ってのけた。たじろぐ俺を目の前に
「・・・でも、それが良い・・・」
そう言って婉然と微笑んだ。
俺は打ちのめされた。
ムウは可憐で、跪拝したくなるほど美しいのに、ときに心臓が凍りつくほど妖しくなる。それがムウ自身の性分なのか、・・・サガに植え付けられたものなのかは分からない。
しかし俺はその言葉にムウの苦悩の深さを知った。

それでも俺は、俺の腰にムウの白い足が絡むと、憑かれたようにその体を貪っていたのだった。


俺が目覚めると朝が早いムウはいつもすでに姿を消している。
たまには体を寄せ合って寝たいと思い、俺がムウを抱き寄せると、指先が濡れたものに触れた。
声も立てずに、ムウは泣いていた。
なぜだかは分からない。
訊いても、答えてはくれないだろう。
俺も黙って背を向ける。


その晩は眠れなかった。
ムウは俺といて幸せなのだろうか。
ムウは本当は俺をどう思っているのだろうか。
分からなくなった。


ちょうどその翌日、シャカが白羊宮を尋ねてきた。アンドロメダの聖衣に血を提供しにきたのだが、ムウとなにやら話している様子だ。

シャカが会話をしている。その事実にも驚きだったがそれより俺の心にひっかかったのはその二人の様子だった。
背格好が似たような二人は、もし俺であったならきっと収まりきれずにはみ出るだろう窓枠にぴったりとはまり、そしてそれは似合い、というより、完成された絵画のように美しかった。

俺は自分の太くて短い、節くれた指を見た。
これでムウの白い肌に触れても良かったのだろうか・・・

俺は気がめいり、自宮に戻った。
階段のところに腰をかけていると、ほどなくしてシャカが帰ってきた。
「アルデバラン」
俺の傍らを通過する間際に、奴は俺に声をかけた。
「大概にしないと命を落とすぞ。」
それは忠告というより相手に弁解の余地も与えない、神の啓示のようであった。

見透かされている・・・。俺は怒りよりも恐怖感にとらわれた。
ムウは毎晩、幕のようなもので小宇宙が漏れないようにしていたが、この男にはそのような小細工は通用しないのだろう。

俺はますます不安になった。
胸が苦しい。
ムウの顔が見たかった。
ムウに触れたかった。
しかし本格的に修復作業に入ったムウは白羊宮の結界を強め、何人といえども、入り込むことはできない。
俺は仕方なく小宇宙を送ったが、
《今手が離せないのです。後にしてください。》
すげなく断られた。
《俺の血も使ってくれ》
《結構です。間に合ってます。》


俺は部屋に戻って泣いた。


結局ムウはそのまま修復の仕上げに入るため、ジャミールに戻ってしまった。

眠れない日が続いた。


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