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…早速次の日噂がたってた。

よく知らない生徒からすら好奇の視線を感じる。物凄く不愉快だ。

「おい、ムウお前、昨日隣の高校の生徒とキスしてたって?」

「ほんとかよ!」

「誰!誰!誰?」

「勇気王だなそいつ〜」

少なくともこの単細胞なクラスメート達は救いようがあった。

「してないよ」

「嘘だ。赤くなった〜〜!!」

ああもう、めんどうくさい。

「した、というかされた。無理やり。僕のほうはしてない」

周りがどよめく。

アイオリアが真っ赤になってひっくり返る。

ミロはずっとさっきから跳ねてるし…。

せっかくの休み時間がそんな風になくなってしまった。

しかも昼休みに先生に呼び出されたよ。

生徒指導室にはサガ先生がいた。

「ムウ、…災難だったな」

昨日のことは調べがついてるというとサガ先生は何かファイルのようなものを取り出した。

「シャカ…隣の仏教系阿頼耶識高校に留学してるイギリス系インド人。 成績は優秀らしいが素行は…意味不明と記してあるのはおそらく芳しくないからだろうな。 幼いころ母と死別、父親は不明らしい。そのあと施設を回って…記録に残っていないが大変なごろつきかもしれない」

僕はちょっとショックだった。あんなに明るいシャカにそんな大変そうな過去があったないんて…。

あの、ふとたまにのぞく寂しげな様子が僕の心をひっかくのはそのせいなのだろうか。

「一部始終を目撃していたものがいる」

サガ先生は厳しい顔つきで、僕の肩に手を回してささやいた。

「…話によると君は乱暴されかかったらしいじゃないか」

乱暴…なんだか凄い言葉だ。投げたり蹴ったりしたのはむしろ僕のほうなんだけど…。

「このことは高校側から抗議して厳重注意をしてもらう」

注意?シャカが?僕はびっくりした。そんなおおごとになるなんて。

サガ先生の大きな手を振り切って僕は言った。

「僕のほうから誘ったんです。シャカは悪くありません。」

サガ先生が固まった。

僕はその隙に早足でドアからすり抜ける。

「失礼します。」



シャカをあんなふうにいうことないじゃないか。

嘘ついてしまったけど、ちょっとすっきりしたよ。

もう、誰になんていわれようと知るか。

大人って勝手だ。

親がいないからって子供を悪者にするなんて。

…シャカ、君は悪くなんてない。変だけど。

そう言ってあげようと決めた。

でもその日はシャカに会えなかったんだ。

僕は夕日が沈むまで丘にいた。

なんだか凄く取り残されたようで寂しかった。

いつもは顔を見るのも癪なのに…

シャカのことばかり考えていた。



今ならどうしてか分かる…僕は…








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