******************* ああ。 今…君の言ったことがちょっとずつ分かった。 ごめんシャカ… 君にもう会えないの? つまらない意地で僕は君を傷つけた。 どんなに謝っても足りない。 こんなことで君を失ったら僕は一生後悔するだろう。 …もう、間に合わないの? 君の言う好きかどうかは分からないけど 君は僕の大切な…友達なんだ。 僕だって君の友達なんだろ? シャカの目のような澄んだ青い青い空から 何も言葉は返ってくるわけもなくて 二人でいたこの丘の上に今は僕はほんとうにひとり。 …僕は 僕は悲しくて 寂しくて死んでしまいそう 君に会いたい。 これは、…恋なの? 気が付いたら橋の上にきていた。 深い緑色した川が光を反射してゆるやかにうねっている。 吸い込まれそうだった。 このまま…飛び込んだら この水は僕を君の国まで運んでくれる? いや、今更会ってなんて言おう。 君が僕に黙って行ってしまったのも、 もう会いたくないからに決まってる そう思うと僕の心は千切れてしまいそう。 苦しくて立っていられない。 僕は橋から落ちる自分の体を他人事のように見ていた。 ああシャカ… 人が恋に死ぬ、って本当なんだね。 そのとき。 足首をつかまれ、体ががくりと止まった。 胸ポケットに入れておいたハンカチがかわりに落ちて、真っ白い四角になって、流れていった。 言葉も出なくなっている僕を引きずり上げるとシャカはいった。 「準…」 「え?」 「…をせず」 大きく息を吐くといった。 「飛び込む前には準備運動そして少なくとも食後30分は経過していないといけない。」 彼なりに動揺しているのが分かる…シャカだ。 シャカ…そんな…そんなことより 「何やってるんだね!? こんなところで。」 「それはこっちの台詞だ」 僕はようやく我にかえった。 「君!インドに帰ったんじゃなかったの?」 「帰った。ビザを申請してきたのだよ。君を説得するのは時間がかかると思って…おや、何を泣いているのだね」 ハンカチがなかったから。僕はシャカのシャツの、胸のあたりを奪って泣いた。 …僕たちはしばらくそこに座っていた。 川辺の風が心地いい。 「君のとこは始業式だろう?」 「君のとこだってそうだろ?」 「いいのかね。」 「今日はこのまま…」 「うん?」 「ここに居ない?」 「よいだろう」 「…うん」 昼下がり…木陰に移動した僕たち。 昼寝には最適…あお向けになったけど僕は目が冴えてた。 シャカは相変わらず寝てるのか起きてるのか分からない様子で、 座禅を組んでる。 「ねえシャカ…」 返事がないのをいいことに僕は独り言みたいに言ってみた。 「君のこと、正直好きかどうか分からない。けど…」 「けど…何だね?」 やっぱり起きてたか。 もうここまで話したら後には引けない。 「けど…君がいなくなって…死にそうな気持ちになったよ。」 「…そうか」 「…うん。それで…答えになってる?」 「うむ」 「君は…それでいいの?」 「急ぐ必要はない」 「は?何が??」 そう聞いても黙って微笑むだけ。…やっぱり腹立だしい奴。 「君なんて好きじゃないよ」 「うむ」 「だから触らないでってば」 「…」 座ったまま90度回転して僕に背中を乗せるシャカ。 重い…と騒ぐほど重くない。 …ベタベタ触られるよりいいか。 少しだけ癖があって柔らかい君の金の髪の毛…うなじのあたりが少し伸びてた。 …君が乗っかったくらいで大騒ぎするのもばかばかしくなって 僕はほうっておいた。 君は。 そのうち寝ちゃうんだろうな… 僕もなんだか眠くなってきた。 頬を撫でる風はもう、秋の匂いがした。 ******************* ひとまず夏の、終わりです。 エピローグ&あとがき back Topへ戻る | |