○第一幕第二場
白羊宮。
の、ダイニングルーム。
今回はすでにムウの意図が分かっているため先日に比べるといくらかやわらかい空気が漂っているこの場所に、集っているのは主であるムウと、アルデバラン、デスマスク、カノン、アイオロス、シュラの5人。
テーブルには若草色のテーブルクロスがかけられ、例の菓子が、皿に載せて置いてある。
そして。
それらの様子を、離れた場所から未練たらしく見つめている者たちがいた。
「なあ、ムウ。あそこの壁の陰になんか、でっかいネズミみたいのがいる気がしてしょうがないんだが」
と、全く悪気のなさそうな声でアイオロスが言った。が、ムウは冷たく、
「気のせいです」
と言い放った。
「それとも、あなたが、どちらかに権利を譲りますか?」
サガとシャカが顔を覗かせている方向をちらりと見やって、ムウが訊ねた。アイオロスは即座に首を横に振った。
「とんでもない!」
一瞬、期待に顎を上げかけた仲間はずれの二人は、憎々しそうにアイオロスのほうを睨んだ。
ムウはしかし、最早そちらを見ずに、
「さて、きょうは人数が少ないので、このあいだより小さな型でガレット・デ・ロワを焼いてみました。でもフェーブはちゃんと入ってますから」
言いながら、五等分にナイフを入れる。
「さ、好きなのをどうぞ」
「よし。おれはこれ」
さっさと手を出して、カノンが一つの小皿を選んだ。
「うーん。これにしようか」
と、アイオロスがもう一つとる。
次にアルデバラン。それから、シュラとデスマスクがほぼ同時に一枚ずつをとった。
それから。
しばし、静かなときが流れる。フォークと皿とが触れ合う音がかすかに聞こえて……。
やがて、「ん?」とデスマスクが呟いた。
みなの視線がデスマスクの手元に集中する。
「よしキタッ!!」
勝ち誇ったように、デスマスクはフォークを握ったままの右手を高く突き上げた。
「今回はおれさまだ!」
デスマスクが掘り出したのは、淡い紅色の彩色を施した、バラの花を象った陶器だった。
「なんだよー、またハズレかよ」
カノンが恨めしそうな声を出す。
「おい、ムウ」
「なんです、カノン?」
「第3回、早く開催しろよ」
「考慮しましょう」
答えてムウは、ほほえんで一同(除:壁の陰)を見まわした。