○第三幕第一場
ガレット・デ・ロワの一件があった二日後のこと。
双魚宮のリビングで、ムウとアフロディーテはまた午後のお茶の時間を過ごしていた。
「それで? きのう、アイオロスと出かけてどうだったわけ?」
アフロディーテが興味深そうに問う。するとムウは、きのうのことを思い出すようにちょっと上を見てから、言った。
「いやー、スポンサーつきの街歩きがあんなに楽しいものだとは知りませんでした」
「これはまた、いきなりの小悪魔発言だね」
「アイオロスは普通にいい男だから道行く人が振り返るし、食事もお茶もおごりで、ふざけて花を買ってもらったりして、とっても楽しかったです」
「そりゃあよかった。――で、そのロシアンルーレット、またやるの?」
「アフロディーテ。ロシアンルーレットだなんて、人聞きの悪い喩えをしないでください」
言って、ムウはちょっと頬をふくらましてみせた。そんな様子もなかなかつやっぽい。
アフロディーテは軽く笑って「ごめん」と言う。
「まあ、でも、あの王様ゲームの変形版はまたやるつもりです」
「ふーん。――このクッキーも、きのうのおみやげ?」
ムウが持ってきたクッキーを皿の上に並べたものを指さして、アフロディーテが訊ねる。
「ええ、そうです」
「じゃ、アイオロスに感謝しながら食べようか」
「どうぞ召し上がれ」
くすくすと二人は笑い合った。