|
scene5 こうしてわたしとムウの関係は続けられた。ムウは惰性だ、と言うが、ずいぶん意図的な惰性もあったものだ。わたしはムウ以外にも多くの人間と関係を持ったが、それはわたしの自由であり、われわれにはお互いを束縛するようなものはなにもなかった。 しかし自由を不要と思う人間もいるものだ。 責務を解かれ自由を与えられた聖闘士らは、結局雑兵にいたるまで、誰一人として聖域を去るものはなかった。聖域は依然として女神を守りつづけ、解散は事実上白紙となった。 息がつまるほど平穏な日々が続いたが、それもこの男と一緒であれば、そう退屈することもない。 いつの頃からか、サガの声はもうほとんど聞こえなくなっていた。 もはや呼んでも返事もない。 …消えてしまったのか…わたしに断りもせずに・… わたしはムウにそのことを告げた。 「サガはもう、いなくなったぞ」 この男はどんな顔をするだろうと思った。 「サガはあなただと言っているではないですか」 ムウはそう言って笑ったが、しかしさびしそうな声音であった。 気がつけばこの男は、わたしに感情を隠さなくなっていた。 とくに敷布の上では、この男はまるで無防備だった。 「なにを見ている」 「あなたのからだ…わたしもそのくらい広い肩が欲しかった」 「おまえはそのくらいがいいのだ。抱きやすいからな」 「…サガ!」 ムウが丸い眉をしかめるのを見るのもわたしくらいだろう。 思うにこいつのほうがよっぽど不思議なからだをしている。 髭も生えないおそろしく白い肌。平らで丸い顔に丸い眉、驚くほど大きな瞳。 しかしこれらはわたしの気に入りだ。髪も肌も極めてよい触りごこちであるし、サラサラとした長い髪はどの女のものよりも美しい。 わたしはムウの長い髪を弄ぶ。わたしのような固い髪ではなく、艶があって、指で梳いてすぐに揃うのだ。 ムウはムウで、わたしの髭をそった後の顎を面白そうに撫でている。 ここに明確なように、わたしもムウもお互いのからだが目当てなのだ。 誰にも邪魔はさせぬ。 たとえそれがサガ、おまえであろうともな… |