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scene7 その日からムウとはしばらく会わないでいた。 別段相手にはことかかかない。 これはムウとて同じだろう。気まぐれからわたしは聖域を抜け出した。 わたしが街の女のところに入り浸っていると、「客」が来たという。 シャカであった。 わたしを訪ね歩いたらしい。しつこいことこのうえない坊主だ。 まだわたしに言いたいことがあるのか。 「サガ…探したぞ」 「何の用だ」 「ムウの容態が思わしくないのだ」 「何?まだ治らないのか?もう随分経つぞ」 シャカはうなずくと眉をひそめ、深刻きわまる顔をした。ただでさえ抹香臭いこの男にそんな顔で傍にいられては治る病も悪化してしまうのではなかろうか。 「ムウは医者を嫌うから詳しいことは分からぬのだが…ここのところムウは食事をとろうともしないのだ。このままでは弱ってゆくばかり…!」 「わたしの知ったことか」 シャカはわたしを振り返った。心労のあまり脳が退化したなシャカよ。 わたしを睨んでどうする。 「サガ、今すぐムウのところに行きたまえ!」 「貴様に指図される筋合いはない」 「ムウは君を必要としているのだ」 「ムウがそう言ったのか」 「いや…しかしわたしにはわかるのだ!…サガ、君はムウを愛していない、と言っていたがそれは君自身の気持ちがはっきりしていなかったからではないのかね?話を聞いてムウが心配にはならないか?今朝もムウは君のところにゆくとつぶやいていたのだよ…君もムウに会いたいのであろう?わたしのことは気にしないでくれたまえ。フ…もはやわたしはムウに何もしてやれぬ。しかし君ならあるいは…!」 「はっきりといっておく。わたしが今望むことはただ一つ、貴様のそのへらず口を引き裂いてやりたい、ということだ。命が惜しければとっとと失せろ」 シャカの寝言など聞いてはいなかったが、ムウがサガのところにゆくといったということが気になった。 サガとはわたしのことなのか?あるいは… |