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わたしはサガへの勝利に酔い、ムウとの行為に我を忘れてのめりこんだ。 わたしは初めて自分だけのものになった己が肉体を誇らしく思った。 このサガの顔形や声音はムウの理性を奪うらしい。 わたしがそのからだに触れただけで、ムウは冷静な思考を保てなくなった。 奴の意志はその快楽を否定しようとするのだが、しまいにはその業ゆえか、耐え切れず失神の悦楽に身をゆだねる…もろいものよ! わたしはムウを存分に享楽した。 初めてこの男を知ったのは数年前であったが、そのからだはしなやかさを失ってはおらず、低く変わった声も、良く発達した四肢もわたしが思い描いたとおり、いや、それ以上であった。 …そういうわけで、わたしはすこぶる機嫌が良かった。 夜は、いつのまにか明けている。 朝の光がこれほど眩しく、好ましく思えたことはなかった。 わたしは背を伸ばし辺りを見渡す。 ムウはまだ、隣で寝ていた。あのときの冷酷に拳をはなった男とは全くの別人の、ひどく無防備な、幼ささえ感じられる寝顔であった。 わたしの視線に気付いたのかムウは目を覚ました。 飾り玉のような大きな瞳が白い顔に立ち現れる。 …おや、と思い、わたしは起き上がろうとするムウを引き戻した。 「――おまえは…美しいな…」 ムウの動きが固まり、敷布にへたりこんだ。 なぜか言葉を失っているムウにわたしは言った。 「今夜は月明かりの下でおまえを抱こう」 ムウの拳がわたしの頬をかすめてゆく。 「天気が悪ければここに明かりをともせばよいな」 容赦ないムウの蹴りをかわしつつ、わたしは約束をとりつけた。 ついでにバランスを崩したムウを押さえ込むと 至極今更であるにも関わらず、ムウは必死になって抗った。 「・・・サガッ!日が昇るまで、という約束はどうしたのですか!?……放してください!」 わたしは太陽など信じていなかったが、ムウがあまりに真剣な顔をして言うので、寛大にも放してやった。 |