かくしてムウは翌日起き上がれぬほど疲労した。
酷い傷跡がいくつも残っている。
さすがのわたしも今回は行き過ぎの感があったから、昼過ぎまで一緒にいた。

ちょうどその日、インドから帰ったシャカが白羊宮を訪ねて来た。
ムウが会ってもいいというので、寝室の扉を開ける。奴はムウの部屋にわたしがいたことで、面食らったようだった。わたしは部屋着一枚だったし、ムウは敷布にくるまったままだ。
「…どうかしたのかね…ムウ?」
ムウはいまだ事情が飲み込めぬシャカに敷布をとってみせた。
そのからだに刻まれた痕跡を見て、シャカは顔色を変えた。鈍い男だ。
「…これでわかったろう、シャカ。わたしは君が考えているような、清い人間ではない」
ムウはうつむいたままそう言い放った。

しばしの沈黙。
わたしはムウの意図をすぐに了解した。ムウはこの男に罵られ蔑まれることを望んでいるに違いない。ある意味ではシャカを裏切ったのだからな。それをするかしないは奴の勝手だが。
「…そっ…それでもわたしは君を信じよう!」
シャカが声を張り上げる。やはりこの男なにか履き違えている。
「わたしは信じる。君と君が選んだことを…!!」

わたしはとても聞いてはおれず、部屋を出た。しかし二人の声は聞こえてくる。
「よいのだ、ムウ、過ちは誰にでもある」
「過ちなどではない!」
わたしは苛立った。
…なぜわからんのだ、バカめ…!シャカよ、貴様の誇る悟りとやらはそんなものか。わたしならムウの横っ面を跳ね飛ばす。それで終りにする。
「ムウ…聞いてくれ、わたしは君を…」
「やめてください」
どうやら愛情と理解とは相容れぬようだ。
…ふん、やはり愛など邪魔なものではないか。


しばしの口論の末、シャカが出てきた。
こいつもサガと同じもの狂いの目をしている。あるいは…ムウのほうが人を狂気に追いやるなにかを持っているのかもしれん。しかし、シャカといい、サガといい、こうもバカがそろっているとムウが哀れにすら思えてくる…。




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